OLLIE
オーリー

スケボー(スケートボード)を始めた人々がまず憧れる技(トリック)はオーリー(OLLIE)でしょう。スケートボードと一緒にジャンプしている光景を見て感動した方はスケーターの素質があると思います。

「デッキが引っ付いているの?」「どうやってとんでるの?」

そういった疑問を持たれる方もたくさんいるでしょう。このページではオーリーの基本的な動作と、効率よくマスターするために要点をまとめたハウツーを紹介します。

オーリー(OLLIE)について

オーリー(OLLIE)とは、スケボー(スケートボード)で板と一緒にジャンプするトリック(技)のことです。現在主流となっている、いわゆるスケボーはこの技なくしては成り立ちません。オーリーという名前の由来は、初めてこの技をやった人(アラン・ゲレファンド)のニックネームが「オーリー(ollie)」だったことから名付けられました。スケートボードだけでなく、スノーボードでも使われる用語となっています。

オーリーはスケボーの登竜門です。オーリーで障害物を飛び越せるようになったり、縁石に飛び乗ったり出来るようになってくると、あなたは毎日スケボーの事しか考えられなくなるでしょう。そしてオーリーは、必ず誰でも出来るようになります。練習してコツを掴めば、なぜ今まで出来なかったのか分からなくなるくらい簡単にです。オーリーがマスターできれば、それを基にしたキックフリップやポップショービット、180などのトリックなどの回転技も、オーリーと比べ短い時間で習得できるでしょう。

そでれは、オーリーについて詳しく研究し、より効率よくオーリーをマスターしていきましょう!

オーリーの仕組み

一言でいうなら「テコ」の原理です。
テコの原理とは、棒(板)と支えを利用し、小さな力で大きな物を動かす仕組みのことで、
板を支える「支点」、実際に力を加える「力点」、テコの原理により、大きくなった力が働く「作用点」の3点により成り立っています。

スケートボードにこの仕組みを当てはめると、板はそのまま棒の役目、支点はテール側のウィール、力点は後ろ足により蹴られたテール、そしてその力は作用点であるノーズにかかり、デッキは斜めに浮かび上がります。

ここまでがテコの原理で、デッキを空中で平行にするのは体の動きです。体の重心を軸にして、後ろ足でテールを蹴り、テコの原理で斜めに浮かび上がるボードを前足で押さえ込んで空中で水平にすることにより、デッキと一緒に飛び上がることができます。

ボードを思い通り動かすため、軸となる自分の体をぶらさずに、後ろ足と前足をうまく使いコントロールする事が大事になってきますが、体にその理屈を理解させるのには時間がかかります。

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オーリーハウツー(HOWTO)

オーリーのスタンス

後ろ足はつま先部分をテールの端の中央に、前足を前のビスの手前に置くようにし、両足の力の中心がデッキに中央ライン上にあるようにします。特に後ろ足の親指の球周辺は、オーリーの際にテールを蹴る時に最も力の入るポイントなので、必ずこのライン上にあるようにしましょう。重心もこの中央ライン上、やや前足気味に置き、前後左右にズレないように意識します。目線は前のビスを見るようにします。(※慣れてきて障害物をとぶときは、物の一番上を見るようにします。ステアの場合は着地面を見ましょう。)

タメをつくる

膝を軽く曲げて構えます。構えのコツは、重心・体勢を崩さず、デッキを地面と水平に安定させておくことです。

上半身先行で真上に飛び上がる

重心を崩さないように、体から真上に伸び上がります。

テールを蹴る

伸び上がりながらテールを真下に蹴りましょう。パチンと音がなることが重要です。
ここまででオーリーの大部分が決まります。

前足を上半身に引きつける

「前足を擦り上げる」という表現をよく聞きますが、これは意識してすることではなく、きちんとテールがたたけ、重心が安定して真上に伸び上がっていると、自然に引っ掛かり擦り上げる形になります。それより前足をなるべく上に引きつけるようにしましょう。オーリーの高さはいかに体に足を引きつけられるかで決まります。下で紹介する世界一高い110センチクラスのオーリーをするスケーターは、お尻より上に足があるほどです。

デッキを平行にする

上がった前足でノーズ部分を押さえ込んで行くと、デッキが平行になります。押さえ込んでやる!っていうほど意識はせず、空中で安定しようと意識した方がうまくいきやすいでしょう。しつこいようですが、重心は構えの時から安定させておきましょう。頭の位置を意識し、最初に真上に伸び上がる動作の後はあまり動かさず、それ以外の箇所で動作をするようにすると分かりやすいでしょう。

ピーク

頂点の瞬間を「ピーク」と呼びます。はじめはこのピークまでいかなくても大丈夫です。板を浮かすことに意識を集中しましょう。ピークが安定してくるとあなたのオーリーも一人前でしょう。慣れてくると上の写真のようにノーズが下がったような形になります。これよりノーズをもう一段階突き出し、後ろ足(ときどき前足も)が曲がったようになるオーリー・ノーズボーン(OLLIE NOSEBONE)のやり方も、以下で紹介しています。

着地に備える

ピークの後は、体の力を抜き着地に備えましょう。力まず重心をずらさないことが安定した着地に繋がりますが、これまでの動作がきちんと出来ていると、ここでつまずくことはほぼ無いでしょう。

四輪同時に着地する

着地は四輪同時に行いましょう。膝や体全体を使い衝撃を吸収しましょう。この動作がスムーズにいくとスタイリッシュに見られやすいです。

Q&A

Q : はじめのうちは進まずに練習するべき?

止まって練習する方がやりやすいならそうするべきです。最終的には進みながら練習しますが、動作に慣れるためにその方がいいと感じるなら迷わずそうしましょう。

Q : 物に掴まりながら練習した方がいい?

これは足にオーリーの動作を覚えさせるための練習法ですが、物につかまっている分ので上半身の動きや重心のコントロールはあまり身に付かないでしょう。

Q : オーリーの高さを上げるには?

オーリーの高さを上げる方法は、とにかく障害物を跳び、その高さをどんどん上げていくことです。はじめは割り箸や空き缶など、非常に低い物からスタートします。工事現場などでよく見かけるコーンは、2つ重ねることによりオーリーの練習に最適な道具になります。向かい合わせて地面に置き、最初は重ねずとび、徐々に重ねていくと高さを上げられます。完全に重なった状態のものはスケートボードのシーンではセットコーンと呼ばれ、高さはちょうど30cmです。先端を重ねると、更に高さを上げられます。コーンとコーンの間に引っ掛ける黄色と黒のバー(パイロン、トラ棒)の高さは60cm。そして立てたコーンそのもの(縦コーン 70cm)を目標にすると良いでしょう。コーンはホームセンターで一本300円ほどで売っているので、入手も簡単です。使っていると確実に壊れるので、他人の物を勝手に使わないようにしましょう。パイロン・縦コーンが跳べたらほぼ一人前です。もしくはオーリーバーなどを自作し、徐々に高さを上げて行くのもいいでしょう。

詳しく解説した【オーリーの物越えHOWTO】を追加しました!

Q : オーリーの幅はどうやって出すの?ステアはどうやってとぶの?

慣れてきたらこういった疑問も生まれてくるでしょう。オーリーの幅や高さは目線とスピードが大事です。物は飛び越す位置、幅やステアは着地点を見るようにしましょう。蹴り方としては高さを出す時は真上に、幅を出す時はやや前気味に蹴るようにします。

Q : 後ろ足を寝かせるにはどうしたらいいの?

上手な人のオーリーは、よく後ろ足(ときどき前足も)が寝るような状態になります。これは固定された重心と前足の動きが大事です。空中で重心を固定し、前足のみを前に突き出すことでこの形になります。慣れないうちにすると怪我のもとなので、オーリーに慣れてきてから挑戦してみましょう。以下の動画で方法を詳しく解説しています。

オーリーのコツ

オーリーに限らずスケボーの全ての技のコツは以下の5つです。
1.努力と練習時間
2.テールをきちんとける
3.体の軸をぶれさせない
4.物を飛んで練習する
5.楽しむ

などです。別の記事で詳しくお話しますが、5番目の「楽しむ」が一番重要だったりします。楽しまなくても学校のお勉強のように訓練すればある程度の技は出来ますが、後でつまずきます。つまずかなくてもスケボーを辞めてしまうこともあります。楽しんで、オーリーや他の技を覚えることが、スケボーを最高に楽しくする一番の近道だったりします。

オーリーの高さの世界記録

正式に記録されているオーリーの高さで、今まで一番高い記録は、2013年4月13日に開催された「AWO contest」で、Bernd Trattnigというオーストリアのスケーターにより打ち出された115.2センチです。動画はこちらから見えます。ただ、スケーターの共通意識としてこれより有名なのが、ダニー・ウェインライト(Danny Weighlight)が、2000年2月6日に、(ELEMENT)主催の「HIGEST OLLIE CONTEST」にて打ち立てた113.03センチ(44.5インチ)の記録です。そのコンテストの際ダニーと接戦したリース・フォーブス(Reese Forbes)もオーリーマスターとしてたくさんのスケーターに広く認知されています。

オーリーの歴史

オーリーの生みの親はアラン・ゲレファンド(Alan Gelfand)です。1979年に彼が生み出したオーリーは、アールのコーピングを用いて板と共にジャンプするものでした。

このオーリーを、平面(フラットグラウンド)用にアレンジし、生まれ変わらせたのは、現在のスケートボードのほぼ全てのトリックを生み出し、スケボーを新たな時代に持ち込んだスケボーの神様 ロドニー・ミューレン(Rodney Mullen)でした。

オーリーの誕生と共に、それまで下降気味だったスケートブームに再び火がつきました。ロドニー・ミューレンは、オーリーを基にし、板を回転させるキックフリップ(当時はマジックフリップと呼ばれました。)をはじめとする様々なフリップトリックを生み出しました。また、オーリーは数々のスケーターにより応用され、それまで考えられいような高い縁石やギャップに飛び乗ったり、レールでグラインドやスライドをしたり、階段を飛び降りたり、それまでフラットやダウンヒルの滑りが主流だったストリートの滑りに大きな変化をもたらしました。スケートボードの形も、オーリーをしやすいように改良され、現在のノーズとテールがある形になりました。このように、現在のスケートボードスタイルの礎となっているのが、オーリーなのです。

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