ペニーボード/ミニクルーザー
ペニーボードを代表とするミニクルーザータイプのスケートボードは、昔のスケートボードを現在の技術で改良を施した復刻版です。昔の物よりも軽く丈夫にできており、ちょっとした移動に便利で、スケートボードをやった事が無い人も簡単に乗れるという点で人気を集めています。
筆者もちょっとした買い物などでたまに使います。携帯すること、滑ることを目的に作られているので一般的なスケートボードとは少し使い勝手が違いますが基本的な乗り方はほぼ同じです。ここではスケーターの視点から、スケボー未経験という方でもペニーボード/ミニクルーザー(*以下ペニーボードとします)を安全に乗りこなすのに身につけておくべきことを紹介します。
※慣れていない状態でいきなり人が多い町中で乗ると自分や周囲にとって危険なので、最初は周りに人がいない平坦な場所で練習しましょう。特にペニーボードで急な坂道を滑り降りるのは非常に危険です。
前知識:普通のスケートボードとの違い
最初にペニーボードと一般的なスケートーボードの主な違いと注意点を押さえておきましょう。基本的な構造は一般のスケートボードと同じなので詳しく知りたい方は当サイトのギアのコーナーをご覧ください。
デッキ(板)とデッキ(グリップ)テープ
スケートボードの板(デッキ)は木製で、表面に滑り止めのために紙ヤスリ状のデッキテープが貼ってありますが、これは携帯時に服や持ち物と擦れてそれらを痛める事があります。
ペニー/ミニクルーザーでは携帯性を重視してこのデッキテープがなく、代わりに表面に格子状のでっぱりがあり、これで滑り止めの役割を果たしています。しかしデッキテープよりもグリップ力が若干少ないため慣れない内は注意が必要です。また、水に濡れるとグリップ力がほぼゼロになるので雨の日に乗るのはお勧めしません。
ウィール(タイヤ)
スケートボードはハードウィールという技をするのに特化した硬いウィールを使いますが、これは走行時の音も大きく、路面が荒いと極端にスピードが落ちます。対してペニーボードは滑りを楽しむために静かで柔らかいソフトウィールを使います。
ソフトウィールは荒い路面でも快適に進むことが出来ますがその分技はやりにくいので、オーリーやフリップなどの技がしたい人は一般的なスケートボードを購入しましょう。
ペニーボード/ミニクルーザーを乗りこなす5ステップ
STEP1. 最初に覚える基本
ペニーボードといえど立派なスケートボードです。スケボー初心者の方はまず乗り方、スタンス、進み方、止まり方などの超基本から覚えていきましょう。
これらは「最初の2時間で覚えるスケボーの超基本」のページで細かく紹介しているのでそちらを参考にまずは乗る事に慣れてください。ペニーボードの場合足を置く位置が違いますが、基本的に前足は前方のビスの上、後ろ足はそり上がったテールの端に置くと板がしなりにくく安定しやすいです。これはスケボーを安全に楽しむために必要不可欠なことなので必ず覚えてください。
STEP2. プッシュ
プッシュはスケボーに乗って前進するための動作です。どんな形のスケートボードでもこの動作は共通です。プッシュについては「プッシュのHOWTOコーナー」をご覧ください。ペニーボードの場合スタンスが狭くなるので若干やりにくく感じることはあるかもしれませんが上のスタンスを参考に徐々に慣れていきましょう。
STEP3. スラローム
スケートボードでターンをするには曲がりたい方向(つま先かかかと側)に体重をかけて板を傾けます。スラロームは前進しながら左右のターンを交互に素早く繰り返す技術で、これが出来ると走行中細かい動きが出来るようになり安全性と楽しさが増します。
片方にターンした反動を使って勢い良く逆方向にターンする動作をリズム良く繰り返します。プッシュである程度スピードに慣れてきたらやってみましょう。習得に時間はかからず、直感的に出来るでしょう。
STEP4. ちょっとした段差を上る
クルーズしていると道のつなぎ目などが少し出っ張っていることが多くあります。そんなときウィールがその部分に引っかかって転ばないか不安になり、ボードから降りてしまう方もいるでしょう。
ペニーボードでもこういった段差を上ることは可能で、段差に差し掛かる直前にテールに軽く踏んでノーズを上げ、そのまま後ろ足に力を入れて前方に押しだすようにするとウィールが段差をなめるように上っていきます。このときの注意点は3つです。
1.重心はあまり後ろに傾けず、通常の状態を維持する
2.遅すぎると詰まりやすいので、ある程度のスピードがある状態で行う
3.段差が高すぎると詰まってしまうので、1cmくらいの低い段差で行うようにする
この動作も直感的に出来ることが多いですがスケボーにある程度慣れていないと少し難しいです。ステップを踏んで練習しましょう。
STEP5. 段差を降りる
次は逆に小さな段差を降りる動作です。段差を降りるのは上るときと同じく、重心を保ったまま後ろ足に力を入れて少しだけ前を浮かせて下ります。
重心が前に傾きすぎても後ろに傾きすぎてもバランスを崩しやすいので注意しましょう。あまり高い場所だと詰まりやすいので、あくまで10〜15cm程度の段差で行うようにしましょう。
ここまで出来るようになればペニーボード様々な場所で楽しめるようになるでしょう。上の動作の多くは習得にそこまで苦労する事はありません。真剣にやれば一週間ほどで出来るようになるでしょう。とはいえ、調子にのって危険な場所で滑るのは絶対に避けてください。自信がつくまではしっかり板に慣れるために、フラットな広い場所で乗るようにしましょう。
スケボーは板に乗っている時間が長ければ長いほど上手く乗れるようになります。自身の安全と周囲に気を配り、どんどん滑りを楽しんでください!
ペニーボードでオーリーは出来る?
ここからはHOWTOではなく考察で、ペニーボードではオーリーやフリップなどの技は出来るのかと思い試してみました。ペニーボードはテールのそりがかなり強いのでテールを弾くことが難しく、オーリー(ジャンプ)や、その発展系であるキックフリップやヒールフリップには適さないという印象でした。
ただし横の回転を加えるトリックは可能で、サイズが小さいためシンプルなものよりある程度複雑な回転をかけることの方が簡単だということが分かりました。360フリップなんかはやり方が分かっていれば可能ですし、ハードフリップが出来る友人もいました。あくまで考察ですので練習する必要は全くありませんが、乗りこなせるようになったらチャレンジしてみても面白いかもしれません。