HOW TO BE A PRO-SKATER
スポンサーシップとプロスケーターへの道

スケーターのキャリアについて

スケボーが上達して自分の腕前に自信が付いてきた方、子供の頃からスケボーしていて周りの人よりスケボーが上手いという方で、スケボーのプロになれれば・・・と思う方もいるのではないかと思います。

ここではそういった野心を持つ方がプロスケーターとして活躍するために必要なものと活動方法、そしてプロスケーターという仕事について簡単に紹介します。プロになるつもりがなくても今スケボーを真剣に練習している方も知識として知っておくと良いでしょう。

大切なのはスポンサーを見つけること

プロになるための最初のステップで最も大切なことは普段自分がスケートボードを買っているスケートショップやブランドなどから彼らの広告塔として活躍する代わりに商品の提供や給与を受け取る「スポンサーシップ」の契約を交わすことです。

スポンサーを見つけるために行うべきことが重要で、一度スポンサードされた後は実力と努力であるのみです。以下でスポンサーを獲得するためのステップを紹介します。

STEP1. スキルを身につける

最初はなんといっても高いスキルが必要です。高く安定したオーリー、一通りのフラットや、カーブやレールトリックはもちろん、それらを様々な場所でメイク出来る基礎スキルは必要でしょう。

ただしカーブやステア、ハンドレールなどのストリートタイプ、アールやボール、プールなどのトランジションタイプ、バーチカルやメガランプを専門にした滑りではスケーターのタイプが異なることが多く、必ずしも全てに特化する必要はありません。もちろん幅広く出来ることに越したことはありませんが・・・。トリックの引き出しを増やし、自分がやりたいトリックをやりたい場所で安定してメイク出来るスキルは必要でしょう。

STEP2: スタイルを身につける

高いスキルを持ったスケーターは世の中に数多くいますが、それだけで望むスポンサーを付けたりプロなれるわけではありません。企業の広告塔として周りに影響を与えるためにはスキルの他に滑りのかっこ良さやオリジナリティーといった「スタイル」が必要です。

スタイルについて詳しく解説しているとかなり長文になるので、詳しくは別の機会に紹介しますが重要なのは自分の滑りを見た人に感動を与えられるかどうかです。具体的に要約すると・・・

①完成された自然な動きでどんな場所でもトリックが出来、その動きだけで誰が滑っているのか認識出来る。
②滑る場所やトリックなどの独創性
③その他、ファッションなど

などです。スケートボードでは単純にスキルのみを追求するスポーツとしての一面だけでなく、チームプレーではあまり良しとされない強烈な個性や想像性(アート性)が強く尊重されます。

圧倒的なスキルもそれだけでスタイルになりますが、それで成功出来るのは才能に溢れた極少数でしょう。単純な運動神経だけでなく創造力や独創性、センスの総合でプロとして認められる所がスケートボードの魅力の一つです。

STEP3: スポンサーにPRする(ビデオ / イベントに参加)

自分にスポンサーに気に入られるだけのスキルとスタイルが身に付いたと思ったら次はいよいよ彼らにPRする段階です。スケート業界で自分を売り出す最も一般的な手段は、自分の滑りを撮影、編集して作った渾身のパートをサポートされたいショップやブランドへ直接送ることです。一昔前はビデオテープやDVDで送るのが一般的で「スポンサー・ミー(Sponsor Me)ビデオ/テープと」呼ばれていました。

現在ではyoutubeにアップしてそのリンクをメールするだけでもいいでしょう。今までその方法で多くのスケーターがスポンサードの契約を交わすことに成功しています。ビデオ以外だと大会などのイベントに出場して勝利するなどの方法もありますが、これはバーチカルやメガランプなどの分野には当てはまり、最も人口の多いストリートの分野において大会の結果はそこまで重要ではありません。

大会で活躍しているプロもいれば、大会にほとんど出場しないプロもいます。あなたの実力が本物であれば滑っているだけで噂が広まり、向こうから声を掛けてくるといったこともあるでしょうが、一番積極性が認められ確実性があるのは「スポンサー・ミー・ビデオ」でしょう。

STEP4. ローカルショップからのスポンサードの場合

実力があっても最初から名のあるブランドからスポンサードを受けるられることは珍しく、最初は地元のスケートショップからスポンサードされることが多いです。あなたがプロになりたい場合、ローカルショップにはあなたの生活を保証してくれるプロ制度が無い場合がほとんどで(大手ショップは除く)、ブランドから直接スポンサードを受ける必要があります。

ただ最初のスポンサーがショップだからといってそことの関係をないがしろにしないようにしましょう。ローカルショップは多くの場合あなたを暖かく応援してくれる地元のサポーターで、ブランドとは違う居心地の良さもありますし、ショップ経由でブランドの担当者に紹介してくれることもあります。トッププロのスポンサーリストを見ていても地元のローカルショップの名前が入っていることが多くあります。

STEP5. ブランドでの階級を上る

めでたくブランドとの契約を結ぶことが成功しても、あなたがすることはひたすら腕を上げ、大会や撮影で結果を残すことのみです。ブランドからスポンサードには以下の3つのレベルがあります。

①フロー:ブランドの商品を無料で提供されるがビデオや各メディアには出演しにくい。
②アマチュア:ブランドの商品を無料で提供される。プロとのツアーに同行出来、ビデオや各メディアにも出演出来る。活躍に応じて給与が発生する。
③プロフェッショナル:ブランドから自分の名前が入ったシグネーチャー商品が販売される。サポートの待遇も最上でデッキ売り上げからの印税収入を得ることが出来る場合が多い。収入はブランドによっての規模によって様々。

単純にスケボーの実力のみで生計を立てるには③のプロフェッショナルになることが必須です。

プロスケーターの職業とは?

プロスケーターとしての職業とはどんなものなのでしょうか?プロスケーターの業務は自分の所属するブランドやチームの顔となってPRすることです。そのためには果敢に新しいトリックを撮影してビデオや雑誌などのメディアに取り上げられ自社の売り上げを伸ばす必要があります。

さらにブランドが定期的に行っている国内外のツアーに参加し、パークやスポットでのデモ活動に参加する義務もあります。コンテストに出場して勝利することによって得られる賞金も収入源です。これらの活動の結果人気が出ればさらに待遇は良くなりますし、運悪く怪我などでコンディションを崩してメディアに出られなければ解雇されることも珍しくありません。

保険に加入するのが難しいアメリカではプロスケーターは対象外ということも多く、全員が不自由の無い暮らしが出来ているわけではありません。因に最も成功しているスケーターであるトニー・ホーク、エリック・コストン、ライアン・シェクラーやナイジャ・ヒューストンら(写真左から)は数十億〜数億円レベルの年収があることも報じられています。

そもそも日本で成功出来るのか?

以上がスケーターとして成功するための一般的な方法ですが、純粋なスケボーの実力だけで日本国内で生計を立てることは実際可能なのでしょうか?

そういうスケーターはいるにはいますが、総合的な答えは今のところ「ちょっと怪しい」です・・・。スポンサー制度やキャリアアップの仕組みは世界共通なのですが、これで老後まで生計が立てられるのは名のあるスケート企業の集結するアメリカでも一部の大型企業のみです。多くのスケーターは引退後それまでスポンサードを受けていたブランドで他の業務に当たるか、独立して自分のブランドやショップを作る、あるいは全く関係の無い仕事をして暮らしていて、これは日本でも同じです。

結論になりますが、あなたがスケーターとして成功するという強い野望を持っている場合は、非常に険しい道になるでしょうが早くからアメリカに行き、向こうの環境の下でスキルを上げることが最も望ましいと言えます。他の国ではなくスケボーが最も発展しているアメリカのサンフランシスコやロサンザルスなどの地域です。アメリカで生まれた日系や韓国人でトップクラスのプロスケーターは多くいますが、日本国内から向こうのトップクラスになったという例は存在しません。といっても真剣にスケボーに取り組むことはそれだけで楽しいですし、スポンサードを受けることは多くの繋がりと将来スケートボードに関わる仕事が出来る可能性を生みます。

近年は日本人の平均的なスキルも高くなり、現在果敢に海外の大会に赴きトッププロ達を相手に良い結果を残している若い日本人スケーターもいます。世界的にもスケボーの認知度をより高めるための大きな大会やイベントの数も年々増えているのでスケボーの未来は明るいとは言えるでしょう。

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